簿記講座始めます
                                                              平成29年8月25日
                                                                               
 この度、9月15日金曜日から岡崎商工会議所にて「簿記3級講座」をさせて頂くこととなりました。是非皆様そして皆様の職員さんもご興味がありましたら、参加して下さい。日本では、大福帳や判取帳など独自の帳簿が発展を遂げていました。そんな中、幕末に黒船と共にやって来たのが、簿記という記帳技術なのです。1873年(明治6年)6月に福澤諭吉が日本初の簿記書である『帳合の法』初編を出版したそうです。福澤諭吉が「読み・書き・そろばん」と言っていましたが、そろばんとは簿記のことを指していたのです。
 そもそも簿記は、イタリアのベニス地方で、商人たちが行っていた記帳法です。1494年にイタリアの幾何学者ルカ・パチオリが帳簿作成のしくみを解説した簿記書が出版されます。その簿記書には、商売繁盛の条件として、①十分な資金力を持つこと。②会計業務に携わる者は、誠実さ・廉潔性を持つとともに、熟達した技能を持つこと。③すべての取引を秩序正しく適切に記帳処理すること。と書かれていました。

 企業は、簿記に基づいて記帳された記録を頼りに、決算書を作成します。決算書は企業の財政状態と経営成績を適切に表現することが出来るとして、世界中に簿記の記帳技術が広まっていくことになったのです。
 現代では、この記帳技術も機械化が進み、手書きで記帳する事もほとんどなくなっています。しかし、どれだけ機械が進んだとしても、根本となる簿記の仕組みが機械化されただけであって、この仕組みは600年以上変わる事なく未だに利用されているのですから大変素晴らしい技術ではないでしょうか。

 そして今から400年前の17世紀ルイ14世時代のフランスでは、死刑を担保に簿記による帳簿の記帳をさせていました。
 その頃のフランスは大不況の真っ直中であり、企業の倒産が頻発し、なかには、偽装倒産するような者も多くいました。そこで倒産を防止するために、1673年、世界で初めて、国家的規模で商人に記帳と決算書の作成を義務付けた「フランス商事王令」が制定されました。この法律は、「倒産時に会計帳簿を裁判所に提示できなかった者は死刑に処する」という厳しい罰則を定めたものです。これにより、企業の連鎖倒産が減少し、この大不況を乗り越えて行くこととなるのです。

よく経営者の方が「数字は嘘をつかない」と言って、自社の決算書を読まれる事があります。決算書に示される数字は、必ず「企業会計原則」や「中小企業会計要領」などと言った決算書を作成するルールに従って作成することになっていますので、過去の決算書や複数の会社の決算書を比較する場合には大変重宝します。しかし、現実にはこうした会計のルールに従っていない決算書も存在する事があります。「数字は嘘をつかない」かもしれませんが、これを作成する「人間が嘘をつく」ことがありますので、他社との比較をする場合には注意が必要です。
 決算書からもたらされる情報や、決算書に埋もれている真実を見るには、簿記の知識が不可欠となるはずです。もしご興味がありましたら、是非講座にご参加頂けますと、大変うれしいです。