分かっていても間違える
                                                              平成29年9月25日
                                                                               
仕事をする上で、ミスやトラブルが起きることは、誰でも当たり前のことかもしれません。わざと失敗をしてやろうと思ってする人は、おそらくいないでしょうから、出来る限りトラブルは起きてほしくないですね。

 それとは反対に、自動車を運転しているときに、いつもの道を、いつものように運転して、安全に職場へ到着していることはありませんか。何も考えていないわけではありませんが、安全運転を常に意識してハンドルを握っていたわけではなかったとしても、予定通りに目的地へ到着している。または、テレビを見ながら夕食を食べている時に、しっかりと完食していますのに、次の日になりますと、テレビの内容はしっかり覚えていても、ご飯のおかずを忘れてしまう。その様なことは有りませんか。
 常に意識を集中しているわけでもありませんのに、人が行動しているということは、実は無意識の中で行動をしていることがあるのです。しかも無意識で行動していることは、決して少なくないのです。

 人間は無意識のうちに行動している事は多々あるのですが、どうしても、人間は頭で考えて、理解をし、そしてその目的に向かって行動すると思っている人がほとんどだと思います。ですから、無意識のうちに判断した事が、後からこれが間違いであったと分かったときには、なぜ間違ってそう判断をしたのかを振り返っても、具体的には分からないことがあります。間違って判断したときの事を思い出す事ができたとしても、間違おうと思って間違えたのではない事が思い出されるだけで、「あ~」といい訳じみたことを思うばかりになるです。
 例えば、仕事上のトラブルで、上司が部下に「なぜ間違えたんだ、慎重に点検をしたのか」と問いただしている事があります。しかし、部下は、無意識のうちこれを判断していますから、「なぜ」と言われても答えることがなく、その当時の話をしても、「言い訳はいらない」と更に怒られるばかりで、どうして良い物か分からなくなってしまい、ただ黙ったままになります。そして、最後に「よく考えて行動するように」と言われ、「ハイ」と大きい声で返事をして、この場を終えることになるのです。

 人間の行動には必ず無意識での行動がある事を前提に考える事が必要です。ですから、これを正すだけの修練が必要となるのです。作業現場で繰り返し行う安全点検、帳簿では借方、貸方が必ず同じ金額になることなど、皆様の周りには、これに対処するための方法が昔から考え出されています。これがよく言われる「体が覚える」に変わってくると失敗がなくなるのです。
 
 無意識のうちに行動していることを前提に人間観察をしますと、間違いを防ぐ方法が明確になるはずです。
 でも、私もそうですが、痩せなきゃいけないと分かってはいても、食べてしまう。これが人間の本質なんでしょうね。「わかっちゃいるけど やめられない」なんて歌もあるくらいですからね。