合理的のはずが、不合理になる

                                                   平成21年7月25日

 

 最近の万歩計はすごいですよ。「オムロン ヘルスカウンタ」と言う万歩計ですが、体重と身長を登録すると、カウントされた歩数に応じて消費カロリーや歩いた距離を計算してくれるのです。そして毎日午前0時になるとカウンターがリセットされ、最高42日間登録されていくのです。さらにパソコンにつなげばインターネットを通じてデータを管理し統計資料まで出してくれるのです。
 豊田市が市民の健康増進のため募集をし、応募者に万歩計を渡し、対象者の歩数データを集計する事業が有り、それに私も応募した事で万歩計をつけて歩いています。ただ歩くだけでなく、それが色々なデータとなることがおもしろいところですね。

 

 アメリカの経済学者の本にこんな事が書かれているそうです。
 「世界は最初 宗教家 によって支配され、次に 軍隊 によって支配され、現在は 商人 によって支配されてきた。そして世界的な不況によって限界が来ている。これからは 道徳家 によって支配されるであろう。」

 

 日本にはもともと経営哲学に「三方良し」と言う考え方があります。売る人にも良し、買う人にも良し、そして社会にも良し、と言う考え方です。つまり商売を通じて全ての人が良いとなるように努力するようにしてきたそうです。
 企業は利益を追求していかなければ、資金が底をつき存続が出来なくなってしまうのも確かです。しかし、採算度外視の無理な商売や、法律違反や倫理に欠けた商売をしても長くは続かないことでしょう。

 万歩計で統計資料を見て楽しむように、企業を決算資料の分析値で善し悪しを判断するのは非常に怖い話です。数字上の合理化を求め続けると、将来には不合理な結果となることが有ります。


 アメリカの経済誌の方が業績の良い日本の自動車工場へ行って取材をした際に、「どうして部品の裏側まできれいに塗装をするのですか? どうせ組み立てたときに見えなくなってしまうのに。」との質問に日本の技術者は「きれいな方が良いではないですか。」と答えるのですが、アメリカの記者さんに理解をしてもらえず、「そんなことは合理的では無いのでは。」と言われてしまったそうです。しかし、現在の自動車産業を見ても日本の製品が世界で最も優れていることが証明されています。
 全てのことを、金額に置き換えて合理的に物事を考えるのではなく、決算資料に現れない、企業に携わる一人一人の将来に対する思い、技術力、人生理念を大切にしてきた日本の企業は、本当に優れているのでしょうね。